悪質取立で損害賠償を請求できる場合がある
悪質取立 損害賠償
悪質取立と不法行為による損害賠償請求
不当な取立により、精神的な打撃を受けた場合、債権者(貸主)に対して損害賠償の請求ができます。
民法の七〇九条には「故意又は過失に因りて他人の権利を侵害したる者は之によりて生じたる損害を賠償する責に任ず」と規定しています。
つまり、貸主の不当な債権取立にあい精神的な打撃を被った場合には慰謝料(損害賠償) の請求ができるのです。
では、どういう場合に不法行為にあたるかといいますと、これはケース・バイ・ケースですので、以下に判例をあげることにします。
損害賠償が認められたケース〔ケース1〕
債権取立で業者が債務者の夫の工場の前で「女房の借りた金を返せ」と大声で叫んだり、玄関のドアに「公告 貸金四万三千円を至急かえせよ」と書いた催告書を貼り付けたケースで、裁判所は違法な行為として慰謝料五〇万円を認めた(大阪地裁・昭和五五年二月一七日判決)。
〔ケース2〕
貸金業者が上司等に債務者への貸金の事実を架電したり、面会をもとめたりしたケースで、裁判所は慰謝料八〇万円を認めた(奈良地裁・昭和六〇年九月六日判決)。
〔ケース3〕
クレジットの保証の事実を強く否定しており、偽装による連帯保証人であることが容易に認識できる状態にあるにもかかわらず、その調査を怠ったり訴訟を起こしたケースで、裁判所はこれらの行為は不法行為にあたるとして、慰謝料六〇万円の請求を認めた(仙台高裁・平成元年二月二七日判決)。
〔ケース4〕
クレジットの立替払い契約で、名義を冒用された人に対して、直接交渉することもなく、住民票などにより本人を確認することもなく、訴訟提起・強制執行の申立をした信販会社のケースで、裁判所は会社への差押命令の送達により被った信用失墜等の精神的損害を賠償する義務があるとした(広島地裁・平成二年一〇月二〇日)。
〔ケース5〕
支払義務のない債務者の親族宅を訪問し、「請求権がある」などといって親族を困惑・畏怖させ、「確約書」をとり債務支払の約束をさせたケースで、裁判所は債権者の貸金請求を棄却し、債務者の親族に慰謝料一〇万円を認めた(京都右京簡裁・平成七年四月二八日判決)。
このように、不当な取立に対する損害賠償の請求を認める判決は多く出されています。悪質な取立に対しては、損害賠償の請求により対処するのも一つの方法ですが、不法行為にあたるかどうかの判断は、専門家である弁護士に相談するのがよいでしょう。
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